本田圭佑特集!「オランダからの応援歌」 前編 [本田圭佑]
2010年のワールドカップ直前、
NHKのBSで放送された「オランダからの応援歌」という特集番組で、
本田圭佑選手が取り上げられています。
ここではその特集番組の内容を見ていきたいと思います。
通勤中や通学中の方などにも読んで頂けたら嬉しいです!
それでは行ってみましょう。
ナレーション:1人の日本代表選手に、
対戦国オランダのある町の人々が熱烈な声援を送っています。
日本代表の本田圭佑選手が2年間在籍したオランダリーグのクラブ、
フェンローの町の人々です。
オランダの首都、
アムステルダムから電車でおよそ2時間。
ドイツとの国境に近い町、フェンロー。
人口9万人の小さな町です。
フランスとベルギーにつながるマース川の上流に位置し、
かつては重要な交易地として繁栄しました。
本田選手はここを本拠地とするチーム、
VVVフェンロー(フェーフェーフェー・フェンロー)に2年間在籍、
去年12月(2009年12月)にロシアへ移籍していきました。
それから4ヶ月たった今も、
本田選手は町の英雄です。
この日はちょうどチームが1部リーグ残留を決めた嬉しい日でした。
スタジアムの観客:「本田は素晴らしい選手だった。
だから今も日の丸を掲げているんだ」
「ホンダは俺たちの英雄さ。
だから『ケイスケホンダスタンド』を作ったんだ」
ナレーション:サポーターショップでは本田選手がチームを去ってからも、
グッズが売れ続けるという珍しい現象が起こっています。
店員:「こんな経験は初めてよ。
普通、移籍した選手の商品は売れなくなるのに、
ホンダのはこれからも売れそうよ。
チームにとって重要な選手だったけど、
私たちの売り上げにとっても重要な選手だったわ」
ナレーション:2009年、
本田選手は2部リーグに転落したチームを優勝に導き、
1部リーグ復帰の立役者となり、最優秀選手にも選ばれました。
町の人:「ユトレヒト戦のゴールはすごかった。
息子は今でもインターネットで見てるよ」
「本当に素晴らしい選手だったわ。
ゴールもたくさん決めてくれたしね。
ホンダは自分だけゴールするわけではなかった。
ほかの選手もホンダのおかげでゴールを決めていたよ」
ナレーション:地元新聞社(デ・リンブルガー)のスポーツ担当で、
長年に渡りチームを取材してきたペーター・レジステン記者は、
本田選手の人気をこう語ります。
レジステン記者:「ホンダは得点の8割に絡んでいました。
その攻撃的なプレースタイルが彼の人気の源でしょうね」
ナレーション:VVVフェンローの創立は1903年。
かつてはカップ戦を制するような強豪チームでしたが、
ここ数年低迷が続いていました。
2008年1月、
そのチームに日本から移籍してきたのが本田選手でした。
本田選手:「全部の試合に出ることですね。
それで少しでもチームの勝利に貢献したいなと思います」
ハイ・ベルデン会長:「ホンダに初めて会った時、
彼は自身に満ちあふれていて、
この先トッププレイヤーになる逸材だと確信しました。
だからうちのチームで重要な選手になると思い獲得しました」
ナレーション:しかし本田選手は入団当初、
なかなか実力を発揮できませんでした。
監督からフリーキック役を任されているにも関わらず、
他の選手にキッカーを譲るなど、
消極性が目立ちました。
レジステン記者:移籍してきた当初、
ホンダのことをやっぱりアジア人だと思いました。
控えめで周りの様子を見るあまり本来の力を出しきれていませんでした。
(「高額なホンダの給料がチームを圧迫している」と入団当時の新聞が報じていました)
ナレーション:チームメイトからの信頼も得られませんでした。
カラブロ選手はチャンスでもシュートを打たない本田選手に、
「お前がシュートするのは名場面集を集めたユーチューブの中だけだ」と、
批判を浴びせました。
カラブロ選手:確かにユーチューブでしか見たことないって言ったよ。
でもここ1年でホンダは攻撃への意識が強くなった。
今でも電話して「ゴール決めたね」って言うと「君のおかげだ」と答えてくれるよ。
僕が教えたからホンダはゴールすることに集中するようになったよ。
ナレーション:しかし、チームを指揮するファン・ダイク監督は、
どんなに批判されても本田選手をレギュラーとして使い続けました。
ファン・ダイク監督:フェンローに来た当初、
ホンダはチームに溶け込むのに大変で、
本来の力を出せていませんでした。
でも私は練習で、
ホンダの高い能力を見抜いていました。
だから彼を最大限に機能させるには、
どうしたらいいのか考えました。
そこでホンダを攻撃の中心にしました。
ナレーション:本田選手が加入後、
チームは2部リーグへ降格しました。
迎えた2008年シーズン、
監督は本田選手から守備の役割を免除。
攻撃に専念させるという思いきった戦術を取りました。
本田圭佑選手:「自分の今までのプレースタイルは、
あまりゴールに向かわないようなプレーだったので、
そこを一から完全に否定していきましたね。
まずこのままじゃムリだっていうふうに思ったんで、
まあそれがきっかけですね、
今のプレースタイルにつながる」
ケン・レーマンス選手:「ホンダが守備をしなくてもそれを受け入れたよ。
ホンダが攻撃することでチームが勝てるなら、
彼の代わりに僕は喜んで守備をしたさ」
ナレーション:本田選手は、人が変わったような積極的なプレーを見せはじめます。
当初冷ややかに見ていたサポーターが、
一転して熱狂的なホンダコールを送るようになりました。
その鮮烈なプレーの数々は、
子供たちにも強い印象を残しています。
町のこども:「ホンダのフリーキックはすごかったね」
「ホンダみたいになるのが夢なんだ。
テクニック、シュート、全てがすごかったよ」
ナレーション:攻撃的な才能を開花させ、
チームの中心となった本田選手に、
ファン・ダイク監督は新たな重責を与えました。
本田選手にキャプテンを任せたのです。
ファン・ダイク監督:「ホンダは規律正しかったです。
これこそ日本人の典型だと思いました。
そのうえ強い自己主張がありました。
だからホンダをキャプテンにしました」
ナレーション:しかし、オランダリーグで外国人がキャプテンを務めるのは、
異例のことでした。
レジステン記者:「最初はおかしいと思いました。
オランダではオランダ人か、
オランダ語の話せる選手がキャプテンになるのが普通です」
ナレーション:ブロークンながら物怖じしない英語で、
チームメイトを引っ張っていきました。
本田選手:「とりあえずオレはどんな状況でも、
やれることは限られてるんで、
それやったらリラックスして楽しもうっていう感じで、
声かけるようにしてますね。
まあ意識してる部分もあります、多少」
ナレーション:強気と繊細さ、
本田選手は押しも押されぬリーダーとなっていきました。
ケン・レーマンス選手:「ホンダは試合の前に各選手と握手しながら、
『楽しんで!楽しんで!楽しんで!』と言って、
試合の後は勝っても負けても『よくやった、頑張った』と言っていた。
そういう意味でホンダはキャプテンの義務を十分に果たしていたと思う」
ナレーション:チームが勝つたびに、
小さな町での本田選手の存在感は増していきました。
こんな夫婦もいました。
夫婦:「柴犬だよ。
ホンダが飼っていたのを見て、
私たちも飼おうと思ったんだ。」
ナレーション:町では本田選手が愛犬の柴犬と散歩している光景が、
よく見かけられました。
夫婦は自分たちも同じ犬が飼いたいと思い、
オランダ中のブリーダーを探し回り、
ようやく手に入れることができました。
夫婦:「オランダでは珍しい犬だから、
野原で放し飼いにしていたら、
キツネだと思われて猟師に撃たれそうになったんだ。
子供たちは家を出て行ったけれど、
ホンダのおかげで新しい家族ができたよ」
これで前半は終了です。
後半は次回のブログでお届けします!